私の言葉を聞いた晴人さんの瞳が鋭くなった。

「依里、柏木から俺が御曹司だってこと聞いたんだって?」

「っ…、どうして」

「あの女が吐いたんだよ。

依里が俺に相応しくないだの、俺はちゃんと見合った相手と結婚するだの。

あのバカな女を、依里に紹介したのは俺の失態だった。

長年付き合いのある弁護士だからって会わせるべきではなかった」

心から悔やんでいる様子で、髪を乱暴に掻き乱す。