『それはシェリルに才能があったから…』 『そんなことないわっ。私、今年師匠に認めてもらえなかったら諦めてたもの。 師匠にも好評だったの。依里がモデルになってくれてよかった』 本当にありがとうと、シェリルは笑う。 その目には、少し涙が浮かんでいるように見えた。 『子供のころの夢に、一歩近づいた』 『夢って?』 『世界のどこかにいる、生き別れた母に私の絵を見てもらうの』