釣り合いも取れないし。

身の程知らずも程々に、と柏木さんは冷めた表情で言った。


それから、いつ事務所を出て家に帰ったのか覚えていない。


家の中に入るなり、玄関に座り込み涙が止まらなくなった。

御曹司ということすら話してもらえない自分は、一時の遊びに過ぎない。

所詮その程度だったのに。

本来なら喋ることすらできない雲の上の存在に、何も知らずに勝手に期待して。