一人称は「僕」に戻り、口を尖らせている。



「だ、だって……」



廿楽くんにとって私は、そのどーでもいい存在だと思う…から。



「心優は…僕は誰にでもこうだと思ってる?」



廿楽くんは悲しそうに目を伏せる。



誰にでも………。



若菜から聞いた廿楽くんの噂。



保健室に意味もなく出入りする生徒。



これを結びつけるのは、とても簡単で…余りにも自然な事だと思う。



でも…今私の目の前にいる廿楽くんが、“本当の”廿楽くんだ。



噂でもなんでもない、そのままの廿楽くん。