「……こういうわけ、です。ごめんなさい」
「……よかった」
安廿楽くんが堵のため息をつき、私の耳にもかかる。
っ…そ、それはやめて欲しい…。
耳が特別弱いとかそういうのじゃないんだけど、廿楽くん相手だといつもより敏感になってしまうらしい。
「…ほんとにごめんね。ここまでとは思わなくて…」
なるべく気にしないよう、廿楽くんにもう一度謝った。
「……なにそれ」
すると今度は、私から腕を離し…。
「僕が心優のこと、どーでもいいって思ってるみたいじゃん」
私の椅子の向きを、自分の方にクルリと方向転換させた。