「こ、ここ外…っ」
「人いないから大丈夫」
廿楽くんが言うように、この場所はいいスポットなはずなのに人っ子一人いない。
少し高台にあるからだろうか。
「…俺がいるのに、上の空なんだ?」
「っ…!?」
廿楽くんの一人称が変わって驚く暇もなく、私は後ろに倒れ込む。
いつの間にか私は、廿楽くんに押し倒される形になってしまった。
…な、何が起きてるの…?
今自分がこの状況下にあることも、廿楽くんの一人称が変わっていることも、なかなか理解ができずに戸惑う。
「…驚いてる?」
「う、うん…」
「…知りたい?」
…廿楽くんの全部を、知りたい。
そう言おうと思ったら。
「んっ…」
甘いキスが、私の唇を塞いだ。
ちゅ、と軽く触れるキス。
それが、だんだん深いものに変わっていく。
降り注ぐキスの雨に逆らえない。