「おなかいっぱい…廿楽くん、大丈夫…?」
「僕はへーき」
さすが食べ盛りの男子高校生…。
女子とは胃袋が違うらしい。
そこで、あることに気がついた。
…廿楽くんって細いのによく食べるよね。
私の倍以上に食べたのに、まだまだ余裕そうだし。
いつかのお昼ご飯はメロンパン一個だけだったけど、やっぱりあれだけじゃ足りてないんだろうな。
「…心優、どーしたの?」
「いや…廿楽くんも男の子なんだなぁって」
「………」
…あれ?
なんてことない一言だったのに、黙り込んでしまった廿楽くん。
彼お得意のだんまりだ。
私、変なこと言った…?
少し記憶を遡ってみようと目線を上に上げると、横から手が伸びてきて。
「っわ…!つ、廿楽くんっ…?」
「…僕だって、男だよ」
耳にかかった熱い吐息。
私を包みこむ腕は、今までで一番力強い。