声に出てしまったのにちっとも恥ずかしくないなんて、不思議なものだ。
でも、廿楽くんはそんな私を見てふいっと目をそらす。
「…っ、そう。ならよかったね」
何でかわかんないけど…ちょっと嬉しそうに見えるから、廿楽くんも同じ気持ちってことなんだろうな。
そう解釈して、思い切り頷いた。
「うんっ!楽しくて嬉しくて…幸せ…っ!」
「………可愛すぎてしんどい」
「へっ?」
廿楽くんがぼそっとこぼした独り言は、私の耳には入らなかった。
***
花火が良く見えそうな場所を確保した私たちは今、空っぽになったトレイの山を前にしている。
チョコバナナを買ったあとは他の屋台も巡り、色んなものを買っていった。
甘いものだけじゃなくて、たこ焼きとか焼き鳥も買ったんだよ。
廿楽くんが糖尿病になっちゃったら困るもんね。
そんな感じで半分こして食べあってたら、いつの間にか無くなっていて。