危うく廿楽くんが暴走するとこだった…。



これからはちゃんと気をつけよう。



…何を気をつければいいのかわからないけど。



「…じゃ、じゃあ行こうっ?私、お腹すいたなぁ〜」



この空気が耐えられなくって、思い切り話題をそらす。



「ん、そーだね。人も増えてきたっぽいし」



「だね!」



ようやく屋台を見て回れる…!



「心優」



「うん?」



歩き出そうとしたら、廿楽くんに呼び止められた。



どうしたんだろう?と思ったら、左の手のひらが骨ばった大きな手に絡み取られて。



「心優の右手、今日は僕のものね?」



「っ…!」



廿楽くんはどこまで私を喜ばせたら気が済むのだろうか。



甘くて甘くて、胸焼けしそう。



「っ、うん…」



さっきからずっと廿楽くんに振り回されっぱなし。



「ふっ、心優…暑そうだね」



「廿楽くんのせいだもんっ…!」