廿楽くんの甘さとこの暑さで、目眩がしそう。



「っ、あー…もう、その顔はダメ」



「へ…っ?」



ダメ…って、なにが?



聞き返す暇もなく、私は気がついたら廿楽くんの腕の中。



「そんな可愛い顔してると、僕の理性死んじゃうから」



「っ!?」



り、せい…って、理性…?



聞き慣れない言葉で、すぐに漢字に変換できない。



でも、廿楽くんはここが公衆の面前だということも忘れてまだまだ言い続ける。



「…ここが部屋だったら、今すぐこの浴衣を脱がせてめちゃくちゃにしてる。たっぷり可愛がって、僕しか知らない心優を増やすの」



これ以上はもう、聞いていられない。



「〜〜っ!!も、もういいっ…わ、わかったから…!!」



こんな人混みの中で何を言っちゃってるの…!?



「…じゃあ、あんまし僕を煽んないで。我慢できなくなる」



「き、気をつけます…」