と、とにかくごめんって言わないと…!
私はすぐさま謝る選択肢を取り、頭を下げた…けど。
「ご、ごめっ…」
「なんでそんなに可愛いの…みんなが心優のこと見ちゃうじゃん、バカ」
廿楽くんから言われた「可愛い」の一言が、グサリと胸に突き刺さった。
「っ…!!ほ、ほんと…っ?か、可愛いかな…?」
欲張り。
わかってるけど…もう一回聞きたくて。
思わずそんなことを口走ってしまう。
すると、廿楽くんは立ち上がって私のそばに来て顔を近づけて言った。
「うん。いつもよりなんか大人っぽいし…浴衣も髪も、全部似合いすぎてて困る。可愛すぎて誰にも見せたくない」
「っ…」
こんなに暑いのは、このごった返している人混みのせい…ではない。
「…っあ、ありがとう…」
頬に集中した熱が、じわじわ広がっていくような感覚。