着飾らない理由はなかった。



少しでもいいから、廿楽くんに可愛いって思って欲しい。



…なーんてね。



廿楽くんと付き合えたことだけでも飛び跳ねちゃうくらい嬉しいのに、何をわがまま言っちゃってるんだろう。



贅沢言うのは良くないね。



気持ちを切り替えて先を急ぐことにした。



***



「お、お待たせっ…!」



待ち合わせ時間に間に合ってほっと一息。



でも、廿楽くんは私を見て何も言わない。



「…………」



……えっと、これはなんの沈黙?



私服姿の廿楽くんにまじまじと見られて、若干戸惑う私。



すると、廿楽くんは「はぁ…」とため息をついてしゃがみこんでしまった。



「つ、廿楽くん…!?」



「ほんと勘弁して…」



も、もしかして私の浴衣がため息つくほど似合わなかった…?



似合わなすぎて、見ていられなかった…?