はたから見たらいつもと変わっていないように見える廿楽くんの表情も、今は少しだけ寂しそうに見えた。



「両親の喧嘩ってかなり子供に影響与えるものでさ、2人の言い争いとか聞いてるとおちおち寝てられないし。ほぼ毎日そんなの聞いてたら、いつの間にかストレスになってた」



どんな事でも受け止めるって思ったのは、今でも変わらない。



……でも。



「それから離婚して、母親が出ていって…もう眠れないなんてこともなく安眠できる。…そう思ったんだけど、無理だったみたい」



「っ…」



こんなの、悲しすぎるよ。



零れそうになった涙を何とか堪えて、歯を食いしばった。



「2人の怒声とか、そういうのが耳にこびりついて離れてくれないんだ。父さんは父さんで海外出張に行ったから、僕がこんなことになってるの知らないと思う」



「そん、なのって…」



「あるんだよ、これが」