「いいの…?」
だから、思わずそう聞いてしまった。
「知りたくないんなら、別にいーけど」
「し、知りたいです…!」
「ふっ、ならいいじゃん。やっぱり心優って面白いよね」
今の褒められるところあった…?
でも、これで廿楽くんのことを知れる。
それだけで、今日ここに来たかいがあったというものだ。
「…よく言う不眠症ってやつなんだよね。しかも家限定」
少し間を開けてから話し出した廿楽くん。
ここからはもう、私は聞くに徹することにした。
「僕の家、離婚してるんだ。ちょうど中学に上がる手前で」
「…っ」
いきなり冷水を浴びせられたように、その一言で胸が締め付けられる。
「昔は仲のいい両親だったけど、段々と喧嘩とか言い争いが多くなって…気づいたら僕は、父さんと2人きりの生活になってた」