「っ…う、うそじゃ…」
ない、の…?
廿楽くんの言ったことがまるで信じられなくて、何か言いたいのに出てこない。
「心優、鈍感」
「ど、鈍感…?」
そんなことないと思うけど…。
「せっかくいい雰囲気だったのに…まぁいいや。ちょっと話そ」
「あ、うん…」
起き上がろうとする廿楽くんから少し離れて、二人で外に出た。
「ここでもいい?少しほこりっぽいけど」
「う、うん」
ベンチのほこりを払いながら聞いてくる廿楽くんに頷く。
…私、さっきから「うん」しか言えてない。
なんだか夢を見ているみたいで、足がふわふわ軽い気もするし。
「今さらだけど、なんで心優がここのこと知ってるの?」
私が座ってすぐに問いかけが飛んできた。
「えーっと…その…」
明楽先輩って言ったら、先輩が何か言われちゃうかも…。