あらためて廿楽くんのガードが硬いことを再確認し、これからどう動こうか迷ってしまう。
うー…難しすぎるよ…。
唸りながら悩んでいると、明楽先輩はスクリと立ち上がった。
それに釣られて私も顔を上げる。
「頑張って、心優ちゃん。応援してる」
そこには、優しく微笑む明楽先輩がいて。
「っ…はい、ありがとうございます」
その瞬間、私は明楽先輩のことを振った身だということを思い出して苦しくなった。
…先輩にこんなことをさせているのは、紛れもなく私。
なら、ここまでしてくれた明楽先輩の厚意を無駄にするわけにはいかない。
「はい、じゃあこれ持って行ってきな」
「へっ…ってわぁ!?」
先輩が私の手を取ったと思ったら、そのまま引っ張りあげられてびっくりする。
「多分そこにいると思うよ。いなかったら…また俺んとこおいで」