「こんな廊下のど真ん中で、襲いたくない」



急に近づいた距離と、耳にかかる吐息。



「っ…!な、なに言って…」



「これ、言っとくけど本気だから」



廿楽くんが甘すぎて、溶けてしまいそう。



「〜っ!!廿楽くんのバカっ…!」



これは絶対遊ばれてる。



こうやって、他の子たちをどんどん虜にしてしまうんだ。



もう限界寸前で、今にも倒れそうになっていたら。



「おい、お前ら邪魔だぞ」



顔も見えないくらいの大量のプリントを抱えた数学の先生が、私たちの後ろから声をかけた。