ドキドキしていたのが嘘のように消え去った。
…うん、そうだよね。
最近の廿楽くんが優しくて、勘違いしてたかも。
元々彼はこういう人でした。
一気に肩の力が抜けてリラックスモードに入る。
チラチラ見てくる人がいても、あまり気にならなくなってきた。
廿楽くんの目はもうとろんとしていて、今にも夢の中へと行ってしまいそう。
…本当に寝るのが好きなんだなぁ。
どこにいても寝れるんだろうか。
少し気になっていたことを、この機会に聞いてみることにした私。
「廿樂くんて、どうしていつも寝てばっかりいるの?」
きっと大した理由もないのだろう思って、あまり期待せずに待っていた。
………なのに。
「…さぁね。眠たいから寝てるだけ」
一拍遅れて返ってきたのは、どこか冷めている低い声。
目を閉じている廿楽くんの表情が、心が…まるでわからない。