「い、いらないし大丈夫だからっ…」



「…そう?」



「そう?」じゃないよっ…!



こっちはもう、味なんて分からないというのに。



そう言いたいのを我慢して、最後の一口を放り込んだ。




「…食べたら眠くなった」



チュロスが入っていた袋を捨てに行ってきたら、廿楽くんはもううつらうつらしていて。



ふふ、食べたら眠くなるなんて赤ちゃんみたい。



口に出さずとも心の中でそう思いながら、廿楽くんに声をかける。



「ちょっと寝る?」



「寝…ないよ。心優に悪いし…もったいないじゃん。せっかく心優と2人きりなのに…」



廿楽くんのその言葉に、言葉を失った。



……っ、うそ。



あの寝ることが大好きな廿楽くんが、睡眠よりも私のことを気にかけてくれているなんて…。



しかも、もったいないなんて言ってくれたよね…?



嬉しいなんて言葉じゃ言い表せないくらい、感動してる自分がいる。