「心優、はい」
「へっ?」
やっと決めれたところにお会計を済ませた廿楽くんが来て、シナモンの方を手渡そうとしてくれている。
私、まだシナモンにするって言ってないのに分かったんだ…!
テレパシーが伝わったのかと思って、勝手にテンションが上がった。
「す…すごいね廿楽くん!なんで私がシナモンにしたってわかったの?」
「あ、シナモンにしたんだ」
……あれ?
思ってたのと違う反応で、今、私たちの間にすれ違いが起きているということがわかる。
とりあえず近くの椅子まで歩きながら、廿楽くんの種明かしを聞いた。
「心優がチョコとシナモンで迷ってたから、どっちも買ってきた。僕はどっちでもいいから好きな方食べなよ」
「そ……そうだったの!?」
「うん。そんな驚く?」
可笑しそうに笑う廿楽くんとカラフルなベンチに腰掛けて、「驚くよ!」と返した。