お姉さんはそう言いながら明楽先輩の腕をがっしり掴んで、引きずっていこうとしている。



「俺、一生廿楽くん恨むからね」



「勝手に恨んでれば?」



普段滅多に怒らない明楽先輩も、さすがにイライラしているのだろう。



声のトーンがかなり低い。



…廿楽くんと明楽先輩の間にわだかまりが生まれないといいけど。



それから明楽先輩が連れて行かれて、ようやく静かになった気がする。



先輩は「好きなとこ見てて」と言っていたけど、廿楽くんはどうしたいかな?



時刻は16時手前。



閉園時間は20時だから、まだまだ時間はたっぷりあるんだよね。



「廿楽くん、どうする?何かしたいことある?」



やっぱり聞いてみるのが1番だと思ったからそう言ったんだけど。



「…特にない」



…とのことなので。



「じゃあさ、チュロス買いに行かない?ほら、今なら空いてるし!」