「わぁ廿楽くん、ずっとそこで待ってたの?」



「…そーだけど。悪い?」



「いやー?どっかの犬みたいだなぁって思っただけ」



「は?」



観覧車を降りてすぐのところに、ムスッとした顔の廿楽くんが壁に寄りかかっていた。



「だいたい、なんの話をして……」



「あら、もしかしてそこにいるのって響!?」



廿楽くんがなにか言おうとしていたけど、甲高い声によって遮られた。



だ、だれ…!?



振り返ると、そこにはとても若いスーツ姿の女の人が目を輝かせていて。



「やっぱり響じゃない!も〜来るなら来るって言ってよぉ!並ばずに乗れるようにしてあげたのに!」



「げ、姉さん…」



……“姉さん”??



珍しくゲッソリとした明楽先輩は、明らかにテンションが下がっているように感じる。



「げ、って何よげって!実の姉に対してそれは無いんじゃないの?!」