明楽先輩はそう言って泣き真似をして見せる。
それがなんだかおかしくって、自然と笑みがこぼれた。
｢…ふっ、あはは…！明楽先輩、幼稚園の先生みたいです…！｣
｢え、なにそれ褒められてんの？｣
明楽先輩が心外そうな顔をするから、余計に笑えてきちゃって。
そんな私を愛おしそうに見つめる明楽先輩が、私の目に入った。
……もう言う機会、ないかもだよね。
さっきも言ったけど、これは何回だって言ってもいい言葉。
私は、自分にできるとびっきりの笑顔を明楽先輩に向けて言った。
｢明楽先輩、ありがとうございますっ…！｣
明楽先輩は口を固く結んだ後、顔をぱっと背けて顔を手で覆う。
｢っ…やば、俺が泣きそーなんだけど｣
今まで涙を見せなかった明楽先輩の瞳は、少し赤くなっていた気がした。
