でも…どうしたって私は、いつも廿楽くんのことでいっぱいいっぱいになってしまう。
こんな気持ちのまま明楽先輩と接するのは、失礼な気がした。
「…廿楽くんのこと、考えてんの?」
私を見つめる瞳が、ゆらゆら揺れている。
「っえ…?」
「だから心優ちゃん、わかりやすすぎ」
呆れるでもなく、ただ苦笑いする明楽先輩。
「そんなに好きなんだね、廿楽くんのこと」
悲しそうな声が静かに響いて、胸がズキっと痛んだ。
っ…今苦しいのは、私じゃないよ。
明楽先輩にそんな顔をさせているのは、他の誰でもない私。
私に悲しむ資格なんてものは…無い。
「今日1日一緒に過ごしててわかったのは、心優ちゃんが見てるのは本当に1人だけなんだってこと。悔しいけど…認めるしかないよね」
私が何を言っても先輩を傷つけてしまう気がして、言葉を発せない。