ゆっくりと地面から離れていくゴンドラ。



立ち上がると、少しだけ揺れる。



「おぉー…人が小さく見える。観覧車なんだから当たり前か」



あはは、と笑う明楽先輩と小さな空間に2人きり。



「…心優ちゃん、やっぱり嫌だった?」



黙り込んでいる私を気にして、先輩は私の顔をのぞきこんだ。



「って、こんな聞き方ずるいよね。先輩相手に嫌だとか言えるわけないのに」



「い、いえっ…大丈夫です」



…とか言ってみたけど…。



嫌なんじゃなくて、“不安”なんだと思う。



何に対して不安なのかと言われたら、それはもちろん廿楽くんのこと。



今頃何してるのかな…誤解されてないといいな…とか。



そんなことばっかり気にしてる。



目の前にいる先輩のことを考えもせずに、廿楽くんのことしか頭にないなんて…。



我ながら酷すぎる。