…行くしかない、よね。



意を決して踏み出そうとしたその時。



「なーにしてんの」



「ぎゃあっ……!?」



真後ろからあの低音が聞こえ、大声を上げて飛び跳ねる。



「ぎゃあって…心優は怪獣だったの?」



呆れた声で言う彼の表情筋は、こういう時に動くのだろう。



「つ、廿楽くん…!」



ニヤニヤした廿楽くんが、満足気に立っていた。



「ふっ、心優驚きすぎ」



「廿楽くんが急に声かけるから…!」



「なに、人のせい?心優は悪い子だね」



確信犯のくせになにを言っているのやら。