話しかけようとしたら、廿楽くんに遮られてしまって一瞬戸惑う。
わざと…だよね。
私の声が聞こえなかったはずないのに、それでも自分の話を通そうとする廿楽くんがらしくなくて。
私の目に、いつも通りのはずの廿楽くんがなんだか別人のように映る。
妙なひっかかりを覚えて、少し胸がざわついた。
***
あれからまた廿楽くんと別れて、違うお店に入った。
あのまま一緒にいたら、色々聞きたくなってしまいそうで…。
なんやかんやしているうちに時間は過ぎていき、もう1時間が経とうとしていた。
メインストリートに来たのは14時くらいで、今はもう15時になろうとしている。
明楽先輩と廿楽くんには少し遅くなると連絡してあるから大丈夫だと思うけど、これ以上待たせる訳にはいかない。
早く時計台に行こう…!
大きなショッピングバッグを両手に早歩していたら、2人の姿が見えてほっとする。