全部を知っているなんてことはないけれど、少しはわかっているつもりになっていて。



あらためて考えたときに、私は一体廿楽くんの何を知っているのだろうか。



「みーゆ」



「っわ…?!」



つい考え込んでいたら、耳に息がかかって思わず声を上げてしまった。



「なに悩んでるの?」



廿楽くんのまっすぐな視線。



逸らせなくて、すぐに返せなかった。



「あ……あはは、ごめんね。ちょっとだけ考え事してた」



誤魔化してもすぐバレる気がしたから、正直に話す。



「大丈夫?僕でよかったら聞くけど」



廿楽くんのことを知りたいと思ったんだよ…って。



そんなこと言ったら、引かれちゃうかな?



でも…今は思ってても言わない。



「大丈夫!家族へのお土産どうしようかなぁって考えてただけなの。心配かけてごめんね」



今はなんか違う気がするから。