まさか、廿楽くんがこんなところにいるとは思いもしなかった。
「なんか意外かも。廿楽くんがこういうところにいるの」
「…そう?普通じゃない」
こてんと首をかしげる廿楽くんに、思い切りツッコミたくなった。
いやいやいや…だって、あの廿楽くんだよ?
寝ることしか考えてなさそうな、『居眠り王子』と呼ばれるあの廿楽くんだよ?
甘いものが多分好きで、寝ることが好き。
今日だって、一緒に来てくれたのが奇跡みたいなのに。
何を言っているのやら…と思ったところで、あることに気がついた。
……今私、廿楽くんの趣味が「寝ること」しかないって思わなかった?
「……?心優、どーしたの?」
「う、ううん…なんでもない」
「ふーん?」
本当に今更すぎるけど…私、廿楽くんのこと何も知らない。
仲良くなって、色んな話をして…かなり親密になってきたと思っていた。