早く渡してササッと帰ろう…!!
「ってうわっ…!?」
意を決して歩きだそうそうとしたとき、なぜか何も無いところで足を滑らせてしまった。
っ…だめだ、転ぶ…!!
ギュッと目を瞑って痛みに耐えようとしたら、グイッと反対方向に引っ張られた。
「っぶな…心優ちゃんって、倒れるの好きなの?」
その人物とは、今にもため息をつきそうな困り顔をした明楽先輩で。
「明楽先輩…!おはようございます…!」
探していた人から現れてくれて、一気に嬉しくなる。
だからお礼よりも先に、挨拶が飛び出した。
「うん、そんなことよりさ、他に言うことあるでしょ?」
あ…そ、そうだよね。
普通はお礼が先だったかもしれない。
失礼なことしちゃった…と反省しつつ、ぺこりと頭を下げた。