「…ほんとに心配したんだよ。心優が元気ないと、僕まで体調不良になりそう」



「っ…廿楽くん…」



腕に込められた力は強いものなのに、とても優しく感じる。



「心優が笑っててくれるんなら、僕はなんだってするから。覚えておいて」



「…っうん。心に刻む…っ」



私を抱きしめる腕も、頭を撫でてくれる大きな手のひらも…。



ぜんぶぜんぶ…大好き。



そう伝えられたらどんなにいいだろう。



「…心優、一応体温だけ図っておこう。やっぱりまだ心配」



廿楽くんは私から離れて、机に置いてあった体温計を私に手渡してくれた。



「あっち向いとくから」



「あ、うん…?」



「…はぁ」



私の反対方向を向いた廿楽くんを不思議に思って曖昧な返事をしたら、ため息をつかれてしまった。