それなのに…私はまだ、お礼の一言も言ってない。



そして今度は、廿楽くんに「近づかないで」なんて言ってるの…?



朝から避け続けて、またこのまま帰らせるとか…。



そんなの絶対、ダメに決まってる。



「っ廿楽くん、ごめんなさい…!」



衝動的に顔を出して、頭を下げた。



「心配して欲しくないからって避け続けて、たくさん迷惑かけて…酷すぎるよね。本当にごめんなさい」



でも、若菜が言ってくれた。



謝ることはもちろん必要だし大事なこと。



でも…いちばん伝えたいことは。



「それと……ありがとう」



廿楽くんへの感謝の気持ち。



微笑みと一緒に、涙がこぼれ落ちた。



「っ…あれ?なんで私泣いて…」



今日は情緒不安定だなぁって思ったら、次の瞬間廿楽くんの腕の中にいた。