「ちょっと心優、なんで隠れるの」
不満そうな廿楽くんの声。
「無理…!今この姿を廿楽くんに見られたら死んじゃうもん…!」
それに反抗するように声を上げる。
てっきりお母さんだと思ってたから、身なりなんて全く気にしていない。
髪はボサボサ。
顔は汗でベトベト。
こんな姿を廿楽くんに間近で見られたら…。
そう思うだけで永遠の眠りにつけそうだ。
「…じゃあ、熱だけでも計ってよ。それ確認してから帰るから」
廿楽くんの寂しそうな言い方に、胸が締め付けられる。
…私、何言っちゃってるんだろう。
仮にも廿楽くんは、今日一日中私のことを心配してくれた。
飲み物や食べ物を買ってわざわざ届けに来てくれたり、保健室まで連れて行ってくれて…家にも送ってくれて。