心配そうに見つめる廿楽くんと話すのが、今はたまらなく苦しい。
「心優、今日一緒に帰りたい」
「……ごめん。今日は約束しちゃったから」
「……そう。じゃあしょうがないね」
廿楽くんのお誘いも、今日は断るしかないんだ。
だって、明楽先輩と約束しちゃったから。
いつもならすぐに「うん」って言うのに、そうできないなんて…。
今さら廿楽くんとの約束を破ってまで明良先輩と会うことに、今さら後悔する。
その後は少し気まずくて、教室に戻るまでお互い喋らなかった。
廿楽くんがこっちをチラチラ見ていたけど、どうしようもできなくて。
黒い雲に覆われた空は、今にも雨が降り出しそうなくらい暗かった。