「……それでも私は、エツのそばにいたい」


 テレビの映像を目に映しながら、ぽつりと呟いた。


「本当は、ずっと好きだったの。子供の頃から、口喧嘩ばっかりしてた学生時代も、離れている数年間も。いつだってエツは私を助けてくれて、一緒にいたいって思ってた」


 自然に本音がぽろぽろとこぼれ、なぜだか目頭が熱くなる。皆は驚いたような顔をして、けれど黙って耳を傾けている。


「私だって彼を支えたい。離れていたら意味がないの。だから──」


〝どこまでもついていく〟と口にしようとした瞬間、テレビに映った光景に息を呑み、目を大きく見開いた。

 私の異変に気づいた皆も、怪訝そうに私の視線の先を追う。私と同様に目を見開いて前屈みになる祥が、信じられないといった調子で呟く。


「え、あれ、悦斗さん……?」


 避難してきた人々で密集するクレベール広場。数時間前に現地のリポーターが中継したその場面の片隅に、年老いたフランス人女性に手を貸している日本人男性──エツの姿が映り込んでいたのだ。