「ジェラルド……なぜここに」
「それはこっちのセリフだよ、エドガール。君には王命が下っているから伝えなければならない」
「王命?」
エドガールはジェラルドに掴まれた腕を振り払って、彼をにらみつける。
その隙にジェラルドはクラリスを守るようにベッドの傍にいくと、クラリスの頭をそっとなでる。
「クラリス、少し待っていてくれるかい?」
「はい、私は大丈夫です」
クラリスに優しい微笑みをかけると、今度は振り返ってエドガールに蔑んだ目を向ける。
「宮殿に君がいろんな令嬢に手を出したという苦情が来ていてね」
「──っ!」
「何か弁明はあるかい?」
「あれは他の令嬢たちが言い寄ってきたんだよ! 僕はなにもしてない!」
「おかしいね、1人や2人なら好意を受けることもあるかもしれないが、10人一斉に被害を出してきたんだ」
「──っ!」
「それに君は私財だけでは飽き足らず、国庫にも手を出していたね?」
「それは……」
「これはもう父上の耳にもすべて通っていることだ、君の行動は王族の名を汚すものだよ、よって……」
ジェラルドは右手を横にやり、高らかに宣言する。
「王命により、君を王族から除籍処分とし、今後一切の入国を禁ず」
「なっ!」
「ちなみに除籍だから私財は没収とする。これからは平民として生活してくれ、だそうだ」
「そんな……」
「それから、これはクラリスを傷つけた分だっ!」
ジェラルドはエドガールの顔面目掛けて容赦なく拳を振るうと、エドガールはそのまま床に倒れ込む。
意気消沈するエドガールを連れて行くように側近に命じて、エドガールはそのまま力が抜けたような状態で連れていかれる。
クラリスは目の前の状況があまり理解できず、困惑していると、その様子を悟ったのかジェラルドが声をかける。
「すまない、怖かっただろう」
「いえ、大丈夫です」
ジェラルドはクラリスが身体を少し震えさせながらも頑張って耐える様子を見て、そっと抱き寄せる。
「殿下──?!」
「すまない、強引な婚約破棄でクラリスを傷つけた」
「私は大丈夫なのです、それよりもご公務が集中できないと仰せでした。それは……」
「うむ、やはり集中できない」
「へ……?」
「だが、クラリスがいなければもっと集中できなかった。これは俺の勝手な言い分だが、俺はクラリスが好きだ。クラリスしか妻に考えられない」
そういってクラリスを抱きしめていた腕を離すと、そっと彼女の肩に手をやって優しく語り掛ける。
「君は他のやつが好きかもしれない、だから婚約は強制しない」
「殿下、いつ私が殿下以外の殿方を好きだといったのですか?」
「え……?」
「私は昔から殿下しかみておりません。今もずっと殿下をお慕いしております」
「それは本当なのか?」
「でなければ、【氷雪令嬢】がこんな感情的なところを見せると思いますか?」
その言葉と共にとびきりの笑顔を見せるクラリス。
「ほんとうにもう一度、やり直してくれるのか?」
「ええ、私にはもう殿下しか考えられません」
その様子をそっと眺めていたルノアール公爵と夫人は、安心したような表情を浮かべ後ほど王へと手紙を送った。
「クラリス」
「はい」
「私の妻となってくれるか?」
顔を赤くして頷くと、ジェラルドはもう一度ぎゅっとクラリスを抱きしめた──
「それはこっちのセリフだよ、エドガール。君には王命が下っているから伝えなければならない」
「王命?」
エドガールはジェラルドに掴まれた腕を振り払って、彼をにらみつける。
その隙にジェラルドはクラリスを守るようにベッドの傍にいくと、クラリスの頭をそっとなでる。
「クラリス、少し待っていてくれるかい?」
「はい、私は大丈夫です」
クラリスに優しい微笑みをかけると、今度は振り返ってエドガールに蔑んだ目を向ける。
「宮殿に君がいろんな令嬢に手を出したという苦情が来ていてね」
「──っ!」
「何か弁明はあるかい?」
「あれは他の令嬢たちが言い寄ってきたんだよ! 僕はなにもしてない!」
「おかしいね、1人や2人なら好意を受けることもあるかもしれないが、10人一斉に被害を出してきたんだ」
「──っ!」
「それに君は私財だけでは飽き足らず、国庫にも手を出していたね?」
「それは……」
「これはもう父上の耳にもすべて通っていることだ、君の行動は王族の名を汚すものだよ、よって……」
ジェラルドは右手を横にやり、高らかに宣言する。
「王命により、君を王族から除籍処分とし、今後一切の入国を禁ず」
「なっ!」
「ちなみに除籍だから私財は没収とする。これからは平民として生活してくれ、だそうだ」
「そんな……」
「それから、これはクラリスを傷つけた分だっ!」
ジェラルドはエドガールの顔面目掛けて容赦なく拳を振るうと、エドガールはそのまま床に倒れ込む。
意気消沈するエドガールを連れて行くように側近に命じて、エドガールはそのまま力が抜けたような状態で連れていかれる。
クラリスは目の前の状況があまり理解できず、困惑していると、その様子を悟ったのかジェラルドが声をかける。
「すまない、怖かっただろう」
「いえ、大丈夫です」
ジェラルドはクラリスが身体を少し震えさせながらも頑張って耐える様子を見て、そっと抱き寄せる。
「殿下──?!」
「すまない、強引な婚約破棄でクラリスを傷つけた」
「私は大丈夫なのです、それよりもご公務が集中できないと仰せでした。それは……」
「うむ、やはり集中できない」
「へ……?」
「だが、クラリスがいなければもっと集中できなかった。これは俺の勝手な言い分だが、俺はクラリスが好きだ。クラリスしか妻に考えられない」
そういってクラリスを抱きしめていた腕を離すと、そっと彼女の肩に手をやって優しく語り掛ける。
「君は他のやつが好きかもしれない、だから婚約は強制しない」
「殿下、いつ私が殿下以外の殿方を好きだといったのですか?」
「え……?」
「私は昔から殿下しかみておりません。今もずっと殿下をお慕いしております」
「それは本当なのか?」
「でなければ、【氷雪令嬢】がこんな感情的なところを見せると思いますか?」
その言葉と共にとびきりの笑顔を見せるクラリス。
「ほんとうにもう一度、やり直してくれるのか?」
「ええ、私にはもう殿下しか考えられません」
その様子をそっと眺めていたルノアール公爵と夫人は、安心したような表情を浮かべ後ほど王へと手紙を送った。
「クラリス」
「はい」
「私の妻となってくれるか?」
顔を赤くして頷くと、ジェラルドはもう一度ぎゅっとクラリスを抱きしめた──