「あ、あの、綺麗だなと思いまして」

「あの猫が?」

「いえ! 猫さんではなく……いや猫さんも綺麗なんですけど、そうじゃなくて、その、あなたの目の色が……」


とても綺麗な金色ですね!と、言葉を繋げようと、意を決して前へ向き直った瞬間、


「っ! 耳!」


ぴょこんと、ふわふわの焦げ茶色の髪の毛からのぞく、二つの柔らかそうな三角耳が目に飛び込んできた。こ、これはっ、


「犬くん……!」

「違う。触るなよ」

「あ、す! すみません……」


柔らかそうだと、つい犬くんが恋しくなって撫でようとしてしまった。なんで触ろうとしたのが分かるのだろう。おずおずと、あげようとしていた両手を謝罪と共に下ろした。睨みつけてくる威圧感が凄くて、問答無用で触るような事は絶対に出来なかった。

やれやれと、目の前のその人は溜息をつき、私の肩はようやく解放される。スッと背筋を伸ばしたその人の背は私より高く、歳は私と同い年か少し上くらいの少年だった。金の目に、ふわふわの焦げ茶色の髪の毛に、三角の獣耳。あれ? よく見たら尻尾も……すらりと伸びた先にふさふさがある……あ!


「分かった、ライオンだ!」