……その問いに、私は答えられなかった。
呆然とその場に立ち尽くす事しか出来ないでいる。だって合っていると、猫さんは言った。それはつまり、あの子を見つけられないようにしていると、私を助けてくれる味方では無いのだと、今猫さんは私に告げたという事である。
そんな彼の背中を、このまま信じて着いていっても良いものなのだろうか。……いや、着いて行くべきではないのだ。だって私の目的はあの子を見つける事。目的がそれである限り、私達の行く先は同じにはならない。
分かってる、分かっているけど。でも、だからといって私にはこの場所で一人になる勇気が無い。
私は、何の覚悟を持ってここまで来たのだろう。情けなさで押し潰されそうになる。猫さんを信じていたのにだとか、もうそういう話ではなくなっていた。この状況で分かる事は、私は私の力であの子を探していた訳ではなかったという事だ。私じゃないもう一人の誰かにただ導かれるまま、付いて歩いていたに過ぎなかった。
……なんて情けないんだろう。
「……とりあえず、家に行こう。ここは危険だから」
それは、優しげな声色だった。私の返事が無いままに歩き出す黒猫を結局追いかける事になるのは、一人では何も出来ない、何も成し遂げられない情けない私。