「アイツの死にたい気持ちが反映された場所。前にも言ったよね?」
「うん。それは分かったんだけど、なんで急にまたここへ来ちゃったんだろう?」
「それは僕が知りたいよ。奥へ進んで行ったんじゃなかったの?」
「うん……確かにその時私は別の場所に居たよ。多分そこはもっと深い場所って所だったと思う。でも、ちょっと道を外れた瞬間ここに居たんだ。この場所に変わっていたというか。それでちょっと思う事があるんだけど……」
「何?」
「……それは、進んだ先から戻ってきてしまったって事なのかな」
「……」
ピタリと黒猫が足を止めたので、私もその場で足を止める。黒猫は振り返った。
「つまり、何?」
静かに私を見つめ、問い掛ける金の瞳。
「……つまり、ここに来たのは夢の深い部分から浅い部分にある入り口に戻って始めからやり直し、という事じゃなくて、もしかしたらここは始めから同じような深い場所にあったんじゃないかって……あれ?」
同じような深い場所、というか……もしかして、
「ここが一番深い場所、だったりする……?」
「……」