だって私、分かった事がある。


「夢の中ってきっと、その人の心の中なんだと思う。その人の願望が現れたり、経験した事を体験したり、そんな中で自分も知らない本当の自分に出会えたり」


私が私の夢を通じて感じた事と、あの子の夢にいる今を通して知った事を合わせると、今の状況の特別さが身に染みた。


「知りたく無い事も、知られたく無い事も、全部あると思う。会う為に夢の奥深く……心の奥深くへ潜り込まなきゃならないのだとしたら、あの子は私がそこまで来るのを許してくれてるって事でしょう? 私にそこまでの覚悟があるかどうか、それが知りたいのだとしたら、そこまで来ないで帰る私をきっとあの子は諦めてしまう。その瞬間、私達の関係は終わってしまう」

「それで良いでしょ」

「良くないよ。私は本当のあの子に会いたい」


夢の中で現実で会うのを拒否したあの子は、私に嫌われたくないと言っていた。私が嫌いになる事なんてない。でも、それをしっかり伝えるにはここであの子を探し出さなければならない。それが私達の約束だ。

私の言葉の本気をここで示さないと、じゃないとあの子に信じてもらえないまま、もう夢でも会えなくなるのだろう。そんなのは嫌だ、絶対に。だからここまで来たというのに。自分から手を離すなんて絶対に嫌だ。