さくはなんでも話した。

 さくはいつのまにか来た。

 夜になるとあらわれて

 眠るころにサヨナラを言う。



 目が覚めると、また夜で

 こんばんわ

 と、さくは言う。





 さくはいつも食物をくれる。

 かんづめとか
 お魚とか
 さくのおかしはくれない。



 あおいかさをいつも持って

 雨にあたることはない。
 月も星もとどかない。
 夜も空も見えない。

 じゃまじゃない?
 僕は聞いた。

 さくは笑った。

「私には必要なんだよ」

 どうして?
 また聞いた。

 さくは、笑った。

「これがないと消えちゃうから」



 さくは、フクロウと違って物知りで、意地悪じゃない。

 聞けば教えてくれる

 頼めば聞いてくれる

 それがうれしかった。



 でも今のさくはうれしくない。



 笑った顔はきれいだけど。

 何だか消えてしまいそうで

 とても、
 なんていうか、

 ざんねん。だった。