おなか空いた、と言ってみる。
 声ってどう出したっけ?



 つかれてもう歩けなかった。
 足でどう立ったっけ?



 朝ではなくなっていた。
 暗いことをなんて言ったっけ?



 何でこんな思いをしているんだろう。
 ……こんな思いってなんだ?



 つかれたということと

 たいへんだということと

 もういいやってこと

 わかるのはそれだけだった。



 ふと。



 いつ眠ったっけ?



 そんなことを考えて
 目をとじた。










「風邪引くよ?」





 そんな声が

 僕を起こした。





「や。」





 見たことない、誰だろう。

 ああ、たしか……



 にんげん。



 そんな名前だっけ。



「猫ちゃんは迷子なのかな?」





 にんげんは、そうほほえんだ。



「――ねぇ」



 目をとじようとするぼくに

 にんげんは、こういった


「……私――――」



 自分を指差して





「ここに、いるよ。」