「あ、咲那!」



咲那は私の声に振り向き、駆け寄ろうとするがその前にふいっと顔を背けて階段を上がっていってしまった。



「え…?」



たしかにこっちを振り向いたのに。どうして…?


まるで、無視したみたいに…。



混乱する頭のまま教室に行くと、なぜかざわざわと騒がしく、咲那がクラスの女子たちに囲まれていた。



「あ…」



私と目が合った咲那がぽつりと声を漏らし、女子たちがばっと振り向いてきた。



「如月さん、よく学校来れたね」


「あんなことしといて、ほんと神経疑うよ」


「え…?待ってよ、なんのこと?どういうこと、咲那?」



意味がわからなくて、俯いて座っている咲那に近づこうとすると、クラスメイトにどんっと突き飛ばされた。



「しらばっくれてんじゃねぇよ!咲那が大倉のこと好きなの知ってたくせに、色目つかったんだろ!」


「…え?」


「本当最低。応援してるフリして、裏では大倉に媚びてるとか。クズすぎるんだけど。なんで学校来てんだよ」