職員室に寄るという咲那と一度わかれ、先に靴箱に向かう。



「あれ、如月さん?」



咲那を待ちながらぼんやりと考え事をしていると、誰かに名前を呼ばれ振り向く。


そこには、スポーツバッグをななめに掛けた大倉くんが立っていた。



「一人なの?」


「ううん、咲那待ってる。大倉くんは部活終わり?」


「そうそう。顧問の先生と話してたらみんなに置いてかれちゃってさ」



あははと大倉くんが爽やかに笑った。


この大倉くんの眩しい笑顔に咲那は惹かれたんだろう。



「明日香、ごめんー!遅くなっちゃって…って、悠真くん!?」


「おー中須」



咲那は急な大倉くんの登場に頬を赤らめてなぜか私の後ろに隠れてきた。



「…あ!そーだ、私、先生に話があったんだったー。ごめん、咲那。先帰っててくれない?」


「え?」


「あ、大倉くん、咲那のこと送ってあげて?ほら、もう遅いし」