「明日天気も良さそうだしどこか出かける? 買い物にでもいこうか。俺、唯花さんの服選びたい」

 マグカップに入ったコーヒーを飲みながら透が話しかけてくる。
 ラフなTシャツ姿なのにだらしなさがないのは顔立ちが上品だからだろうか。
 そんな彼がわくわくした顔でお出かけを提案してくるからつい、うん行こうかと快諾したくなってしまう。

「んー、疲れているし週末は家でのんびりしたいかな。洗濯物もしなきゃだし」
 そう答えると透は途端にえー、と不満気な声を出す。

「いつもそう言って滅多にふたりで出掛けてくれない。もしかして、外で会社の人に会ったら嫌って思ってる?」
 
 図星だ。透は的確に唯花の痛いところを突いてくる。

「俺たちが付き合ってること、別にオープンにしたっていいと思うけど」
「いやー、さすがにそれは困るかな」
「俺が年下で頼りないから?」
「そんな事ないよ。折原君はしっかりしてる」

 透は若くて素直だが性格に浮ついたところはない。
 ものの見方もしっかりしているし、仕事もかなり優秀で本社からの期待も高い。
 家事全般もこなせるから仕事以外ではズボラになりがちな自分よりよっぽど生活能力が高い。