余りに大きい声に思わず耳を塞ぐ。そのせいか、こちらに向かってくる人物に気づくことが出来なかった。乱雑にドアを開かれる。入ってきたのは、母だった。急に部屋に来たことに驚いて黙っていると、次の瞬間、怒声が耳の奥まで響いた。                「さっきからうるさいわね、ご近所迷惑でしょうが!!」
あらかた言い終わると、私の部屋を一瞥し、状況を察したのか、こちらを睨みつける。次に言われる言葉は容易に想像できた。
(ああ、これマズイやつだ)          兄弟喧嘩の時、大体が上が譲歩しなければならないのだ。