「だったら、夏祭りにでも誘いなよ」 私は教室の壁に貼られている夏祭りのチラシを指差して言う。私の提案にを気にいった芽郁は目を輝かせて私の手を握りブンブンと上下にふった。 「ナイス案だよ鈴、ありがとう!!早速誘ってくるね」 上機嫌に言った芽郁は握っていた手を離し鞄を肩に担いで教室から走って出ていった。一連の出来事を呆然と見つめた後、深いため息をこぼした。 「いいな」 ボソッと出た独り言に自分が驚く。私は恋をした事がない。だから、ああやって必死になるほどの恋心を抱いている芽郁に対する一方的な嫉妬。ハッと気づいた私は頭を思いっきり振りさっきまで考えでいたことをかき消す。