どこまでも真っ直ぐな瞳で見つめ返された。
私には受け止めきれず、せめてもの抵抗で視線を下へ向ける。
汗が滲む壱矢の首元が見えた。

 「私は関わって欲しくない、んです」

一人でいたい。
親がいなければまだ生きていけないくせに、でも、一人ぼっちでいたい。
そうすれば、比べられずにすむ。

 「家族でもないのにって?」

苦笑混じりの声に、一瞬血の気が引く。
これは、拒絶されているがわに言わせていい言葉じゃない。
やってしまった。
防御だけが先走って、他人への攻撃にまで頭が回らなかった。
ただ逃げたかっただけなのに。

 「…いえ、そういうことではなくて」

謝る前に壱矢が私かまた私を引き寄せた。
どきっとして慌てて胸元から顔を上げると、逃げると思ったのかなんなのかさらに拘束される。
なんなんだいったい。
さっきよりも、壱矢が私に体重をかけていて、少し脱力しているのがわかる。

 「俺だってお前のこと、家族どころか妹だとも思ってねぇよ」

え…。
どういうこと??
てっきり私は、家族としてまとめたいのだとばかり思っていた。
家族の一員ではない態度を取り、ことあるごとに避けまくっている私をなんとか家族として馴染ませようと、話しかけてくるのだとばかり。