そんな美聖に、今度は息吹から近づく。
唇が触れ合う直前でぴたりと止まった息吹は、楽しそうに微笑んだまま、美聖が掛けている伊達眼鏡をそっと外す。
「こうした方がキスしやすいよ」
「息吹、」
「美聖くんが好きだよ。結婚して私だけのものにしたいくらい」
息吹が美聖にキスをする。すぐに離れかけた息吹を追いかけて美聖はキスをする。
目を閉じて、何度も、何度も唇を合わせる。ずっとずっと堪えてきた感情が息吹に触れる度に収まるどころか溢れ出す。
美聖の家に到着したタクシーの運転手の「あけましておめでとう」の言葉にそこで初めてふたりも「あけましておめでとう」と口にしたのだった。