「俺と結婚してください」




息吹は美聖のプロポーズに応えようとしたのに、気がつけば息吹の指にぴったりなそれについて言及していた。



「サイズどうしてわかったの?」



息吹の純粋な問いに、真剣な顔で返事を待っていた美聖が、「ぁえ?」と素っ頓狂な声を上げる。


それから、美聖は、息吹の指に収まる高価な指輪を見下ろしてから、恥ずかしそうに呟いた。




「息吹さんが寝てる間に、その、ちょっと、測らせていただきました」

「いつ?」

「一緒に暮らし始めた翌朝」

「そんな早い段階で?」

「ファン歴3日で買った指輪はやっぱりサイズ大きかったから、改めて、」

「(ファン歴3日で買った……?)」



どこまでも予想外な美聖に息吹は、堪えきれず笑う。返事も貰えず笑われるばかりの美聖は所在なさげにたじたじするばかり。